開催予定セミナー

<過去に開催されたセミナー>

平成30年度

題目 記憶の物理化学的実体
講師 井ノ口 馨先生
富山大学大学院医学薬学研究部(医学)生化学講座・教授
日時 平成30年6月29日(金) 17:00-18:30
場所 環境医学研究所 南館大会議室(東山)
要旨 経験時に活動した特定の神経細胞集団(記憶エングラム)として記憶は符号化され、何らかのきっかけでその記憶エングラムが再び活動するとその記憶が想起されます。 私たちはここ数年、記憶の連合(関連づけ)のメカニズムの解明に取り組んできました。ヒトは脳に蓄えられているさまざまな記憶情報を関連づけていくと同時に、 それぞれの記憶が混同しないメカニズムを保ちながら、一つ一つの記憶から知識や概念を形成していきます。 私たちは、記憶の連合は記憶エングラム細胞の共有化が担っていること(Yokose et al, Science, 2017)、記憶のアイデンティティは二つの記憶に共有されている エングラム細胞上に存在する異なるシナプスが担っていること(Abdou et al, Science, 2018)を明らかにしました。

参考文献
1. Abdou et al. (2018) Synapse-specific representation of the identity of overlapping memory engrams. Science,360,1227-1231.
2. Yokose et al. (2017) Overlapping memory trace indispensable for linking, but not recalling, individual memories. Science, 355, 398-403.

(医学系大学院 基盤医学特論を兼ねています)
Lecture in Japanese.

題目 霊長類脳への遺伝子導入手法の進展と応用
講師 高田 昌彦先生
京都大学霊長類研究所 統合脳システム分野・教授
日時 平成30年4月27日(金) 17:00-18:30
場所 環境医学研究所 北館セミナー室(東山)
要旨 本セミナーでは、我々が開発を手がけてきた、ウイルスベクターによる霊長類脳への遺伝子導入技術を用いた先端的研究手法について概説したい。 まず、アデノ随伴ウイルスやレンチウイルスに由来する組換え体ウイルスベクターを直接脳部位に注入して外来遺伝子を導入する技術を紹介する。 本技術は、光・化学遺伝学と組み合わせることによって様々な遺伝子改変モデルの作出に寄与する。また、逆行性感染型レンチウイルスベクターは 神経路選択的遺伝子操作に欠かせない。次に、最近開発に成功した新規アデノ随伴ウイルスベクターの血管内投与による全脳レベルでの遺伝子導入技術を紹介する。 最後に、逆行性越シナプス的感染能を持つ狂犬病ウイルスベクターを用いた多シナプス性神経回路トレーシングについても言及したい。

参考文献
1.Inoue K, Koketsu D, Kato S, Kobayashi K, Nambu A, Takada M (2012) Immunotoxin-mediated tract targeting in the primate brain: selective elimination of the cortico-subthalamic “hyperdirect” pathway. PLoS ONE 7:e39149.
2.Inoue K, Takada M, Matsumoto M (2015) Neuronal and behavioral modulations by pathway-selective optogenetic stimulation of the primate oculomotor system. Nat Commun 6:8378.
3.Nagai Y, Kikuchi E, Lerchner W, Inoue K, Ji B, Eldridge MAG, Kaneko H, Kimura Y, Oh-Nishi A, Hori Y, Kato Y, Hirabayashi T, Fujimoto A, Kumata K, Zhang M-R, Aoki I, Suhara T, Higuchi M, Takada M, Richmond BJ, Minamimoto T (2016) PET imaging-guided chemogenetic silencing reveals a critical role of primate rostromedial caudate in reward evaluation. Nat Commun 7:13605.

(医学系大学院 基盤医学特論を兼ねています)
Lecture in Japanese.

題目 海馬の神経回路における情報処理機構
講師 水関 健司先生
大阪市立大学大学院医学研究科神経生理学教室・教授
日時 平成30年4月13日 (金) 17:00-18:30
場所 環境医学研究所 北館セミナー室(東山)
要旨 海馬と嗅内皮質はナビゲーションやエピソード記憶に重要である。私達は自由行動中のラットに多点同時記録法を用いて、 海馬と嗅内皮質から同時に100個程度の神経細胞の活動を測定した。 そして、課題行動中や記憶固定に重要と考えられている睡眠中にどのように情報が処理されるかを、神経発火の同期性、 脳領域をまたいだ神経活動の伝搬、海馬内・外からの入力の相対的な強度などの観点から調べた。 その結果、海馬・嗅内皮質の神経回路における情報処理の様式は、脳状態によってダイナミックに変化することが明らかとなった。 海馬の経路特異的な情報処理機構を明らかにするために、光遺伝学と大規模記録を組み合わせて行っている研究に関しても紹介する。

参考文献:
1.Mizuseki,K., and Miyawaki,H. (2017). Hippocampal information processing across sleep/wake cycles. Neurosci. Res. 118, 30-47.
2.Mizuseki,K. and Buzsaki,G. (2013). Preconfigured, skewed distribution of firing rates in the hippocampus and entorhinal cortex. Cell Rep. 4, 1010-1021.
3.Mizuseki,K., Diba,K., Pastalkova,E., and Buzsaki,G. (2011). Hippocampal CA1 pyramidal cells form functionally distinct sublayers. Nat. Neurosci. 14, 1174-1181.
4.Mizuseki,K., Sirota,A., Pastalkova,E., and Buzsaki,G. (2009). Theta oscillations provide temporal windows for local circuit computation in the entorhinal-hippocampal loop. Neuron 64, 267-280.

(医学系大学院 基盤医学特論を兼ねています)
Lecture in Japanese.




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