The Diagnosis Centre for
Genomic Instability Diseases
ゲノム不安定性疾患検査センター

医療関係者の方へ

  • 全てのゲノム不安定性疾患を対象とします。
  • 本検査は基本的に保険適用ではありません。検査費用は日本医療研究開発機構難治性疾患実用化研究事業から支出しますので、患者さん・ご家族及びご施設の負担はございません。ただし、検体採取にかかる費用、検査センターに検体を送付する送付料金のみ患者さん・ご家族あるいは貴施設にてご負担願います。
    (公的機関など、配送費用について経費処理が難しい場合には着払いで対応しています。)
  • 疾患原因変異の特定は、既知のものでおおむね9割、未知のものの場合は3割程度です。
  • 検査の結果をお返しするまでに3〜12か月かかります。
  • 検査結果についてご不明な点は検査センターからご説明いたします。
  • 本検査はヒトゲノム遺伝子解析研究として実施されます。必ずインフォームドコンセントを取ってから検体を送付してください。同意書がない場合は検体を受け付けません。説明書と同意書は申し込みをされた時に検査センターからメールでお送りします。
  • 貴施設の倫理方針をご確認の上、お申し込みください。
  • ゲノム不安定性疾患の疑いが明らかに乏しいと判断した場合は、申し込みをお断りする場合があります。
  • 検体の残余は名古屋大学環境医学研究所で保管し、研究目的で使用する可能性があります。
  • 得られた結果はデータベース化して本事業の母体である「ゲノム不安定性疾患群を中心とした希少難治性疾患の次世代マルチオミクス解析拠点構築」研究班が管理します。このデータベースは研究目的に使用する可能性があります。

  1. 患者さんがゲノム不安定性疾患の疑いがあり、専門的検査を希望される場合、検査申し込みをしてください。
  2. 検査センターから説明書と同意書を送ります。
  3. 検査センターからお送りした説明書、同意書を用いて、患者さん・ご家族よりインフォームドコンセントを取得して下さい。
  4. 検査センターで検体を受け付けた後、名古屋大学環境医学研究所で検査を行います。検査の詳細は検査方法をご覧ください。結果が出ましたら、検査結果を依頼医に報告します。

 患者さんから採取・抽出した細胞、血液、ゲノムDNAを使って検査を行います。
検査結果は、DNA修復機構・DNA損傷応答機構の欠損の有無と、欠損が認められた場合には原因変異をご報告します。疾患によっては、DNA損傷修復機能検査を行わずに、シークエンシングのみをする場合もあります。検体がゲノムDNAのみの場合は、既知の原因遺伝子の変異の有無のみご報告します。

DNA修復機構・DNA損傷応答機構の機能検査

 ゲノム不安定性疾患群の患者では、複数あるDNA修復機構・DNA損傷応答機構のなかの、どれか1つの経路に異常があると考えられます。そこで、患者由来の細胞を使って、DNA修復機構・DNA損傷応答機構のどの経路に異常があるのかを検査します。紫外線、放射線、化学物質などDNA損傷を誘発する様々な要因に細胞を暴露し、それぞれの損傷を特異的に修復するメカニズムの活性を調査します。修復活性の低下が認められた場合 (欠損している修復経路が特定された場合)には、既知の関連遺伝子を患者由来の細胞に強制発現させることで欠損した修復活性が回復するかを指標として、疾患原因となっている異常を持つ遺伝子を特定します (ウイルス相補性試験) 。遺伝子が特定された後は、サンガーシークエンシングにより疾患原因変異を特定します。

次世代ゲノム解析を用いた網羅的調査

 上記ウイルス相補性試験で、既知の関連遺伝子が原因でないと判明した症例に関しては、次世代ゲノム解析 (全exome解析や全ゲノム解析など)により、すべての遺伝子を網羅的に調査し、疾患原因変異の特定を試みます。次世代ゲノム解析では、患者ご本人だけでなくご両親やご兄弟のゲノムDNAの提供があると、疾患原因変異の同定効率は高くなります。次世代ゲノム解析で、これまで疾患との関連が知られていなかった遺伝子 (機能未知の遺伝子を含む)が候補となった場合でも、患者由来の細胞を用いたウイルス相補性試験を実施することで、科学的な証拠に基づいて疾患原因を確定することが可能です。

  1. 検査申込書をダウンロードして、記入後、エクセルファイルにパスワードを掛け、メールに添付して検査センターに送ってください。パスワードは別送のメールで送ってください。
  2. 検査センターから説明書と同意書をメールで送ります。
  3. 患者さん・ご家族にご説明いただき、同意取得をお願いいたします。
  4. 検体をお送り頂く際には、事前に検査センターまで受入れ可能日をご確認ください。
    検体を採取し、当日のうちに名古屋大学環境医学研究所発生遺伝分野宛に送付してください。同意書原本は資料提供機関にて鍵のかかるロッカー等に保管をお願いいたします。検査センターへは同意書のコピーをお送りください。 (同意書原本の保管に問題がある場合には、検体とともに検査センターへお送りください。) 土日祝日は検体を受け付けておりません。検体採集にかかる費用、検査センターに検体を送付する送付料金のみ患者さん・ご家族あるいは貴施設でご負担願います。 (公的機関など、配送費用について経費処理が難しい場合には着払いで対応しています。)
    検体送付時には、検査センターまでe-mailにて宅配便伝票番号をお知らせください。
  5. 検体を受け付けましたら、検体受付のメールを検査センターから送ります。
検体種別
疾患群 スキンパッチ(皮膚)
組織(手術時の組織片)*1
血液*2 ゲノムDNA*3
色素性乾皮症 必要 あることが望ましい (必要)
コケイン症候群 必要 あることが望ましい (必要)
ゼッケル症候群 あることが望ましい 必要 (必要)
ファンコニ貧血 あることが望ましい 必要 (必要)
ウェルナー症候群 あることが望ましい 必要 (必要)
ロスムンド・トムソン症候群 あることが望ましい 必要 (必要)
ブルーム症候群 あることが望ましい 必要 (必要)
リ・フラウメニ症候群 あることが望ましい 必要 (必要)
毛細血管拡張性運動失調 あることが望ましい 必要 (必要)
ナイミーヘン染色体不安定症候群 あることが望ましい 必要 (必要)
LIG4症候群 あることが望ましい 必要 (必要)
XRCC4症候群 あることが望ましい 必要 (必要)
その他(ゲノム不安定性疾患群疑い) 必要 必要 (必要)

*1 スキンパッチ(皮膚)、組織(手術時の組織片)
培地もしくはPBSに浸して採取当日に室温で発送。採取日から翌日 (遅くとも翌々日)には届くように。採取から時間が経つと細胞が樹立できなくなりますので、できる限りタイムサービス等を利用して翌日到着するようにご配慮をお願い致します。

*2 血液
ヘパリン採血菅に5mlを2本、冷蔵で発送。採取日から翌日あるいは翌々日には届くように。保存状態が悪く溶血等を起こすと細胞が樹立できなくなります。乳幼児など、採血量が制限される場合には、1mlを2本あるいは、無理のない範囲で1本でも対応可能ですが、細胞樹立ができない場合もあります。

*3 ゲノムDNA
冷凍で発送。ゲノムDNAのみの場合には修復活性の評価はできません。量は7-10μg程度、濃度は20ng/μl以上をお願いします。血液 (細胞)がある場合には、名古屋大学環境医学研究所発生遺伝分野で抽出します。 細胞と血液の両方があると、より正確な解析が可能です。

色素性乾皮症、コケイン症候群、毛細血管拡張性運動失調、LIG4症候群、XRCC4症候群に関しては、細胞があると修復活性の評価の精度が上がります。

スキンパッチから細胞を樹立するには2〜3ヶ月かかります。血液から血球系細胞株を樹立するには3〜4ヶ月かかります (外部業者に委託)。

メールアドレス:genetic-test-mlアットriem.nagoya-u.ac.jp
(アットを@に置き換えてください)