名古屋大学環境医学研究所

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環研について

所長挨拶

環境医学研究所は、1946年、名古屋大学の附置研究所として出発して70年余となります。研究所は、そのミッションを「環境医学に関する学理及びその応用研究」にはじまり、「宇宙医学など特殊な環境下の健康科学」、「近未来環境がもたらす健康障害のメカニズム解明と予防法開発」と、その時代の研究の潮流や社会的要請などに基づいて変革して活動してまいりました。

現在では、神経系、内分泌・代謝、ゲノム、循環器などを中心に人体の恒常性維持機構や、疾患によるその破綻メカニズムに関する基礎医学研究と独自の創薬開発研究にフォーカスして取り組んでいます。「環境医学」という言葉から現在の研究所の姿を想像しづらいかも知れませんが、「体内環境」を理解しその維持に貢献する医学研究所であると理解いただきたいと思います。最近の研究では、糖尿病などの生活習慣病が悪化すると認知症の進行がより加速するなど、1つの臓器やシステムの不調が、脳など他の部位の病気を悪化させることが判明しており、各分野のエキスパートによる共同研究を通じて人体のいろいろなシステムを統合的に理解する必要があります。環境医学研究所は、このような観点から、様々な臓器やシステムからなる人体を「体内環境」という観点から理解し、疾患の克服に貢献することを目標に、研究をすすめております。

国立大学のなかで研究所は、最先端の研究に専念できるという学問的自由を与えられていますが、同時に、社会との連携、研究成果の社会還元による社会貢献も強く求められています。また、少子高齢化社会が加速する本邦では、加齢に伴う疾患、ストレス性疾患の増加など多くの医学的・社会的課題を抱えております。これらの課題の克服に貢献すべく、私どもは、学内では医学系研究科の一員として医薬系部局との研究連携を強めるとともに、国際連携、若手研究者の育成等を通じて研究所のアクティビティーを常に高いレベルに維持するよう努めております。

国立大学法人をとりまく財政事情は年々厳しさを増しておりますが、私どもは、最先端の研究成果を常に世界に発信し、社会に還元することを通じて、その役割を果たすべく日々努力してまいりますので、ご支援とご協力をお願い申し上げます。

環境医学研究所長 山中宏二

研究所の歩み

1943年(昭和18年) 名古屋帝国大学の附置研究所として、航空医学研究所が設立された。
1946年3月(昭和21年) 新制名古屋大学の発足に伴い、同大学附置研究所となる。
1949年5月(昭和24年) 新制名古屋大学の発足に伴い、同大学附置研究所となる。
1960年5月(昭和35年) 航空医学部門が増設された。
1964年2月(昭和39年) 研究部門の名称を、第1部門(神経・感覚)、第2部門(代謝・内分泌)、第3部門(呼吸・循環)、第4部門(病理・胎生)、第5部門(航空医学)に変更した。
1966年12月 (昭和41年) 新庁舎に移転した。
1967年6月(昭和42年) 第6部門(航空心理)が増設された。
1979年5月(昭和54年) 研究所南館が増設された。
1991年4月(平成3年) 研究所の改組により、小部門制から大部門制に移行した。第1部門:分子・細胞適応部門(内分泌・代謝分野、発生・遺伝分野)、第2部門:器官系機能調節部門(神経性調節分野、循環器分野、液性調節分野)、第3部門:高次神経統御部門(平衡適応分野、自律神経・行動科学分野)。また、附属施設として宇宙医学実験センターが新設された。
1994年3月(平成6年) 研究所北館が増設された。
1996年10月(平成8年) 第3部門:高次神経統御部門の2研究分野の名称を、視覚神経科学分野と自律神経分野に変更した。
2001年4月(平成13年) 第3部門:高次神経統御部門自律神経分野の名称を神経免疫部分野に変更した。
2004年4月(平成16年) 国立大学が法人化され、国立大学法人名古屋大学附置研究所となる。研究所の主要なミッションを、「近未来環境がもたらす健康障害のメカニズム解明と予防法開発」に変更した。
2004年10月(平成16年) 寄附研究部門:生体情報計測・解析(スズケン)部門を設置した。
2005年1月(平成17年) 第3部門:高次神経統御部門に脳生命科学分野を設置した。
2006年4月(平成18年) 新たなミッションを実現するため、研究組織の再編を行った。従来の3研究部門を2研究部門へ再編した。ストレス受容・応答研究部門(神経系分野、内分泌分野、免疫系分野)、生体適応・防御研究部門(脳機能分野、発生・遺伝分野、心・血管分野)。附属宇宙医学実験センターを廃止し、附属近未来環境シミュレーションセンターを設置した。
2009年4月(平成21年) ストレス受容・応答研究部門内分泌系分野の名称を分子シグナル制御分野に変更した。
2010年3月(平成22年) 寄附研究部門:生体情報計測・解析(スズケン)部門を廃止した。
2010年9月(平成22年) 生体適応・防御研究部門にゲノム動態制御分野を設置した。
2012年10月(平成24年) ストレス受容・応答研究部門分子シグナル制御分野の名称を病態神経科学分野に変更した。
2014年4月(平成26年) 産学協同研究部門:薬効解析部門を設置した。
2015年4月(平成27年) 附属近未来環境シミュレーションセンターを廃止し、附属次世代創薬研究センターを設置した。
2015年7月(平成27年) ストレス受容・応答研究部門免疫系分野の名称を分子代謝医学分野に変更した。

研究所の構成

人類が生活する環境は20世紀の後半から加速度的に変貌しており、健康への影響が一層深刻となり、複雑化してきている。私たちは、環境医学研究所の使命を「人間と環境の関わりを医学と、健康科学の面から研究することにより、人々の幸福に貢献すること」として明示し、中期目標を「我々をとりまく急激な社会環境と自然環境の変化に対する人体の適応機構と、その破綻によっておこる疾患の発症機序の解明と予防・治療法の開発」として掲げた。

環境問題は、医学以外に工学、農学、地球科学、気象学をはじめとするさまざまな分野で研究が進められているが、その多くは環境破壊の速度を最小限度に抑えるための循環型社会を作ることに主眼が置かれている。そのような努力を世界中で展開することは極めて重要であるが、人間の活動が続く限り環境変化、環境破壊は進行してゆく。当研究所が目指すのは、30~50年後の近未来社会を想定し、その中でヒトが安全、快適に生存し、健全な次世代を育ててゆくための医学的・生物学的条件を解明し、予防対策を工夫することである。

近未来環境は、①有害物質の蓄積による地球環境破壊、②人口構成の変化による超高齢社会の到来、③生活圏の拡大という三つの側面から捉えることができる。具体的な健康障害としては、大気汚染、内分泌かく乱物質、酸化ストレスなどによる免疫機能低下と生殖・発達異常、さまざまな人工環境がもたらす肉体的苦痛(痛みなど)と感覚の混乱、高齢化にともなう心臓血管病による突然死、脳機能低下などが挙げられる。研究所では、これらの健康障害の発症機構を明らかにすると共に、「生命と脳機能の維持」及び「生活の質の確保」の 2面から有効な対策を研究する。

パンフレット・年報

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